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第29号「勤務医が組織として意思表示するには。」

第29号 2009年10月1日  病院長 清水 信義

病院長 清水 信義
勤務医が組織として意思表示するには。

 最近、病院勤務医の問題が頻繁に取りあげられていますが、今回は勤務医の組織について考えてみました。まず、一般に勤務医という言葉が遣われますが、実際には勤務医という明確な区分はないようです。

  1. 厚生労働省大臣官房統計情報部「医師・歯科医師・薬剤師調査」の分類では、医師は次のように分けられています。1)病院開設者又は法人の代表者、2)診療所開設者又は法人の代表者、3)病院の勤務者、4)診療所の勤務者、5)医育機関附属病院の勤務者、6)介護老人保健施設の従事者、7)医療施設・介護老人保健施設以外の従事者、8)その他、となる。従って、一般的には、3)、4)、5)が勤務医として区分されているものと思われます。しかし、それぞれの勤務医の属する勤務病院の母体は、公立(国立、自治体立、準公立(赤十字病院、済生会病院など)、民間立などがあり、医育機関も国立、自治体立、私立があり、また診療所(開業医)の勤務医については、ほかの勤務医とは条件がかなり異なります。このように勤務医といっても、その背景となる勤務母体は多様であり、まとめて一つの職域群に入れにくいこともあります。
  2. 日本医師会(会員数165,086人)の会員区分は、次のように分けています。1)A①会員(84,879人、51.4%):病院・診療所の開設者、管理者およびそれに準ずる会員、2)A②会員(B) (37,479人、22.7%):上記A①会員、A②会員(C)以外の会員、3) A②会員(C):医師法に基づく研修医 に分けられ、したがって勤務医は、研修医をA②(C)会員をのぞくA②(B)会員となる(平成19年12月1日現在)。研修医も勤務医ですが、義務的な研修期間と言うことで別の扱いになっています。

 平成20年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会における日本医師会勤務医委員会報告によると、医師数と医師会会員の割合は

○全国医師数      277,927人(平成18年度3師会調査より)
○日本医師会会員数   165,072人  勤務医会員数 77,501人(46.9%)
○都道府県医師会会員数 180,626人  勤務医会員数 91,205人(50.5%)

となっています。

 また、別な厚生労働省大臣官房統計情報部の調査では、平成18年12月31日現在で、病院医師は123,639人、医育機関の病院44、688人、診療所医師は95,213人との集計もあります。この統計では、診療所医師はほぼ日本医師会A(1)会員数に匹敵しますが、病院医師と医育機関の医師を合わせた約16.8万人の勤務医であり、このうち日本医師会に勤務医として入っているのは約77,600人(45.8%)となり、勤務医の半数以上が日本医師会には入会していないことになります。

 日本医師会といえば、一般社会からは全医師を代表する組織と考えられがちであるが、実際には、全医師数27.7万人のうち16.5万人(59%)が日本医師会員であり、医師の内40%余りは、日本医師会員でないことになり、勤務医の加入が少ないことがその最大の原因と思われます。

 日本医師会外に、医師の組織を作る動きも有りますが、ひるがえって考えれば既に勤務医の約半数は既に日本医師会会員として組織されていることから、別な組織ができるよりも現存の日本医師会の勤務医の組織を、全勤務医の意見を代表する組織として編成することが、より迅速でまた医師の組織の統一を図る上でも有効なことと考えます。

 日本医師会の中で勤務医の組織化が進まないのは、医師会への入会手順にも問題があります。特に若い勤務医の日本医師会への加入が少ないのは、若い世代は勤務地を短期間に変わるため、地区医師会から、県医師会、日本医師会へという入会手続きは、負担が大きくほとんどできない状況です。このことにより、勤務医の意見を正確に反映してくれる組織がないのが現状です。

 私は、40年間勤務医として働き、現在、岡山県医師会の理事を務めさせていただいていることから、このような意見を日本医師会に提案していきたいと思っています。関係者からのご意見を頂ければ幸いです。

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